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No. 11-12

No. 13-14

 このページには、Q&Aコーナーが創設される以前に Technical Tips として掲載されたものを転載しました。

Aug. 30, 2000 Vol. 1

セッティングが決まれば成績は「高値安定」

アドバイス対象レベル:中上級者

 
 セッティングが大事って、どういうふうに大事なん?
   セッティングがいいと安定していいタイムが出せる。自分の苦手なパターンの道でも、大負けすることがなくなるんや。
   ふうん。
   自分の好きなパターンの道やったら、セッティングがピーキーでもあんまり気になれへん。「こんな道、好きやなあ」と思ったら、多少クルマの挙動が激しくても、マキシマムグリップさえ高ければガンガン踏んで行けるしタイムも出る。ところが苦手なパターンの道や、初めて走る道では、クルマの動きがちょっとでも神経質やなと感じたら、アクセルが踏めんようになるんや、オレの場合はね。そういうときはボロボロに負けしてしまう。
   ま、それはたしかにそうやな。
   でも、セッティングがうまく仕上がってたら、失敗してもなんとか曲がれるという安心感があるから、アクセルを踏んでいられる。そもそも失敗する確率が減るしね。だから大負けせえへん。
   そういうときは、だいたい横に乗ってても安心して乗ってられるわ。危なげないし、それでいて速い。
   つまり、セッティングが悪いと、好きな道では120パーセントぐらいで走れても、キライな道では50パーセントぐらいの走りになってしまう。せやけど、セッティングがよかったら、どんな道に行っても必ず90パーセント以上で走れるということかな。その代わり、好きな道でも95パーセントぐらいでしか走られへんこともあるけどね。
   ラリーではひとつのイベントの中でいろんな道を走るから、どこでも同じように走れることは、すごく大事やね。それでは、「西尾的ベストなセッティング」とは、どういうセッテイングのこと?
   抽象的かもしれんけど、どこでも安心してアクセルが踏めること。コーナーのアプローチで多少失敗しても、リカバーできるセッティング。言いかえれば、コントロール性がいいというかコントロールの幅が広いということやね。
   そういうセッティングは、どうやって見つけるの?
   自分の走り慣れた練習コースではなく、別の場所で走ってみるといい。いつも走ってる道は、ブレーキングポイントにしてもステアリングを切り込むタイミングにしても、ベストな条件を知り尽くしてるから、どんな足回りを試してみても、多分同じように走れてしまう。その結果、コントロール性よりもマキシマムグリップの高いほうを求めてしまうんやな。そうすると、勝手のわからない道ではうまく走れないことが往々にしてある。だから、あまり走ったことのない道でそこそこ自由にクルマを操れるようなセッティングを見 つけておくことが大事になってくる。
   でも、実際には、何か所も条件のちがう練習コースが家の近くにある人は少ないやろね。
   うん、でも、これはいつもの練習コースでも工夫すればできるんや。ちょっと走り方を変えてみるだけでいい。たとえば、いつもは完璧に前への荷重移動が終わったときに ステアリングを切ってスッと曲がれるコーナーで、わざとタイミングをずらす。そしたらいつものようにはステアリングが効かへんから曲がられへん。そこで慌ててハンドルを切り足したときに、スッポ抜けせずにある程度応答してくれて、クルマが曲がって行くような足であれば、かなり安心できるということや。
   なるほど。ラリーではレッキでコースの下見はできるけど、それは通常2回までで、しかもゆっくり走るだけ。いくらペースノートがあるといっても、理想的なコーナリングはでけへんことのほうが多いかもしれへん。そういうときに、アプローチに失敗しても曲がれる足というのは、非常に安心感がある、というわけやね。
   そう。見込みちがいで、荷重移動ができてないのにハンドルを切らんとあかんかったり、コーナーの手前でブレーキが余ったり、逆に遅れたり、コーナーに入ってからアングルが足りないことに気がついたり。そんなときでも、クルマを思ったとおりにコントロールできる自信があれば、アクセルをたくさん、長い時間踏んでいられる。
 「上級者と初級者では走り方が全然違うから、上級者のセッティングでは初級者は走りにくい」ってよく言われるけど、いまの話を聞くと、「西尾的ベ ストなセッティング」のクルマを初級者が運転した場合でも、それがどういいのかわからんということはあっても、走りにくいということはなさそうに思えるな。
   うん、ゼ・ッ・タ・イにない、そう断言できる。実際この前、アキバ君から電話があって、「地区戦(JAF北海道地区選手権)でトップ争いなんかしたの初めてです」って言うてきた。ワタナベ君も3位に入ったらしい。2人とも今まで入賞もしたことないんやで。「西尾さんの足だとレベルが違いすぎて走りにくいかと思ってたけど、全然そんなことなかったです」って言うてたわ。そういうことやねん。
    (アキバ君とワタナベ君はともにインプレッサユーザーで、北海道地区選手権のラリーに出場しており、数年前から、全日本ラリーが北海道で行われるときはサービスクルーとして手伝いに来てくれている。7月のノースアタックのときに、「今度の地区戦は舗装なんですけど、舗装なんてほとんど走ったこともないし、足回りをどうしたらいいかわからないんです」と言うので、西尾がモントレーで使ったショックアブソーバーとスプリングのセットを、そっくりそのまま貸してあげた。地区戦ではラリータイヤで舗装を走るということなので、グリップレベルを考えて、セミレーシング装着でウェット用にセッティングしたものを選んだのだが、ちょうど当日はドライコンディションだったので、グリップレベルは同じくらいになったようだ。「西尾さんの足で大丈夫かなあ」と2人は喜びながらも戸惑っていたが、フタを開けて見ると、なんとアキバ君は最終SSまでトップと数秒差の2位をキープする大健闘。残念ながら最終SSでコースアウトしてしまったが、ワタナベ君は3位で初入賞・初お立ち台を経験した。)
   でも、彼らのクルマはユウジロウ号より100kg以上は重いでしょ?  それだけ重さが違うのに、同じ足で大丈夫やったん? 舗装用の足はバネが硬 いから、重量の影響はあまりないということかなあ? 
   確かに僕のより100kgは重いやろね。でも基本的に舗装の足でバネがすごく固いから、ダート用の足に比べて重さの影響は少ない。それと、重くなったぶん、それだけ動きがマイルドになるから、より扱いやすくなったということもある。
   なるほど。一般に、軽いクルマの足を重いクルマにつけると、重くなったぶん動きがマイルドになるというわけか。ということは、重いクルマでセッティングした足を軽いクルマにつけたら、非常に扱いにくくなる可能性があるっちゅうことかな?
   そう。それが今まさに僕が悩んでることや。今年のクルマは去年のクルマに比べて100kg以上軽い。舗装のセッティングはうまくいったけど、ダートはなかなかいいセッティングが見つけられへんかった。7月の北海道が終わってからテストを繰り返して、やっと「これがそうかな?」というモンが見えてきたところや。こんなに走った夏はここ数年なかったなあ。

   その努力が報われてほしい。「いつでもどこでも安心してアクセルが踏める」のは、ラリーではとても大切なこと。練習では速いのにラリーの本番ではイマイチ走れないという人、その原因は、度胸が足りないというだけではないのかもしれませんよ。ラリーに完走し、しかもいい成績を残すには、「西尾的ベストなセッティング」は強力な武器になるはず。これから足回りを決めようという人は、是非これを参考にしてください。ただし、西尾選手でさえこれだけ悩んでいるくらいだから、本当に納得できる足を見つけるのはかなり難しそう。そして、それを見つけるためには地道な努力が必要だということもお忘れなく。

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