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No.84  10月17日受信 埼玉県・カフェさんから
Question

 はじめまして。私は現在32歳の単身女性です。兄弟が四輪耐久などのモータースポーツに参加しているのでときどき手伝いでサーキットに同行したり、観戦に出かけたりしています。先日、群馬のモントレー2002で初めてラリーをライブで見たのですが、コースを歩いてギャラリーポイントを移動し、たくさんのラリー車を見ることができて、とても楽しい1日でした。

 そんな折、知人から、来年一緒にラリーに参戦しないかと誘われました。私はクルマの運転は大好きで、これまでモータースポーツに興味は持っていましたが、自分が参加したことはなく、ドリフトもできません。ラリーのコドライバーには独特の仕事があるのだろうと思うのですが、果たして私で務まるものでしょうか?

 自分の気持ちとしては、コドライバーをやってみたい、ラリー車に乗ってラリーを経験してみたい、と思うのですが、今からでも始められるものでしょうか? 誘ってくれた人には迷惑はかけたくないし、何と返事をすればよいか悩んでいます。好きという気持ちと努力で何とかなるものでしょうか? 山口さんのご意見を聞かせてください。

 
 しっかりした人やなあ。ラリーはやってみたいけど、「誘ってくれた人には迷惑はかけたくない」って悩んでるて。だれかとはえらい違いや。
   だれや、それ?
   オマエ、自分のこと覚えてるか? ダートラでちょっと名前が売れたときに、女やからという理由だけで某有名全日本選手から「アキラコさんをナビに」という打診があったやろ。
   はあ、そういえば・・・あのとき、「全日本ラリー=日本全国縦断旅行+毎月毎月スターに会える」というのがパッと頭に浮かんで、「行く行く!」って言うたのに、アンタとアンタのナビをしてたY田さんが、やめとけ、って言うたんや。
   それがありがたい親心やがな。ナビゲーターなんかやったこともないのに、いきなり全日本では荷が重過ぎるし、うまいこといくかどうかも全然わかれへん。迷惑かけるより何より、自分がエライ目に合うし、ヘタしたら再起不能になるぐらい打ちのめされるかもしれん。ワシらはそれを一番心配したんや。それに、ダートラでモノになりそうやったから、そっちをもっと真剣にやるべきやという考えもあったしな。
   ふむふむ、そんなことも言うてはりましたなあ。
   それをこいつ、一瞬も考えんと、聞いた途端に「行く行く!」やて、ホンマにめでたいわ。
   あれは一応、「やってみたい」という基本姿勢を表明しただけや。現実問題として、できそうかどうかというのはそれからゆっくり考えるつもりやってん。当然やろ。せやから、アンタらの助言を素直に聞いて、あのときは断りましたがな。お陰様で、かどうかわかれへんけど、とにかく今は楽しくラリーをさせてもらって感謝してます。
   しかし、「再起不能になるぐらい打ちのめされるかも」というのは余計な心配やったな。でもまあ、迷惑をかけられるのがワシ一人だけですんだから、世のため人のためにはなったやろう。
   だいたい、経験のない人に「ナビゲーターをしてほしい」と頼むんやから、頼むほうも覚悟はできてるはずやで。
   たしかにそうやな。最初から完璧にできるなんて誰も思ってないやろし。やるべき仕事がきちんとこなせるようになるまでにはある程度時間がかかる、そうなるまでガマンしてでも、その人にやってほしい、と思うから頼んでるわけや。
   せやろ。アンタかてワタシに最初に「ナビゲーターやってくれ」って頼んだときも、「何もできんでええ。ただコンピュータのボタンを押してくれるだけでええ」って言うたやん。
   ううむ、たしかにそう言うたけど、あの頃は今とちがって「補正計算」が必要やったから、実際にはエライなことになったなあ。やっぱりボタン押すだけでは話にならん、って後悔したわ。なにしろ、普通のナビゲーターの「減点」が45秒とか50秒ぐらいのところを、2分30秒もくらってたから、ブッチギリのベベや。(注:「べべ」とは、大阪弁で「最下位」のこと)
   そういえば、サービス時間中にワタシがご飯食べてたら、「ようのんきにメシなんか食えるな、ホンマにベベやんけ!!」て言うて真剣に怒ってたなあ。
   ふん、それがなんと超ラッキーなことに、氷上トライアルから突然変更になったジムカーナでほとんどのドライバーがミスコースして、おまけに、SSタイムダントツ1位の組がチェックカード紛失で失格になって、終わってみたらワシらは3位で、ワシにとっても全日本で初めての表彰台! しかもSSタイム1位で「SS賞」までもろて。あのラリーのことは、今思い出しても笑いが止まれへんわ。(注:1987年開幕戦にマツダファミリア4WDターボで出場したとき)
   まあ、そういうこともあるぐらいやから、カフェさんも「迷惑かける」なんて心配せんと、気楽にやってみたらええんとちゃう?
   そうやな。しかし、いつまでも進歩せえへんかったらホンマに迷惑がかかるから、努力はしてもらわんと。
   ワタシは努力してたやろ?
   うん。そもそも、勝つために本気で努力する人間やというのがわかってたから、一緒にやってくれって頼んだんや。オレは、「やるからには勝ちたい」と思ってたからな。そういう考えの人間と組まんと、オレの努力がムダになる。
   そうやなあ。片方が「上を目指して頑張ろう」って思ってるのに、もう片方が「ラリーは一晩みんなで走り回って楽しむもの」とか思ってたりしたら、そらうまいこといかへんわ。
   上を目指してるほうは、「オレがこんなに頑張ってるのに、アイツはマジメにしよらへん」って思うし、もう一方は、「もっと気楽にしたらええのに、なんであんなにカリカリすんねん」って思うやろうし。どっちもフラストレーションたまるばっかりで、お金と時間のムダづかいや。楽しみたいだけやのに、不必要に危険に身をさらすのもアホらしいしな。
   ラリーは二人でする競技やから、同じ目標をもった二人が組むのが理想的、ということやね。
   そういう相手にめぐり会うのは、現状ではけっこう難しいことかもしれへんけど、そういうことを常に意識しておくことは大事やで。そうしたら、やがてそういう人も見つかるやろう。
   そうやね。とりあえずは、相手とたくさん話をして、お互いの考え方をよく知るようにしたらいいと思うわ。お互いが納得してたら、あとは「好きという気持ちと努力で何とかなる」よ。
   今からでも全然遅くないしな。ワシがダートラを始めたのは30歳のときで、ラリーはさらにその2年ぐらい後や。
   アジパシに出てた藤本吉郎のコドライバーのアーネ=ハーツなんか、97年当時で60歳やってんから。「ラリーなんかして、しんどくないん?」って聞いたら、「最近のラリーは昼間しか走れへんし、時間も短いからラクや〜、これやったらいくつになってもできるで〜」やて。
   ほう、そいつ大阪弁しゃべるんか。
   んなわけないやろ。英語ですがな。だいたいそういう内容のことを言うてたわけや。
   マジで答えんでもええわい。まあ、30歳で始めてもまだ30年以上できる、ということやな。それに、「コドライバーには独特の仕事」なんかないし。こんなオバハンでもできるぐらいやから。
   ぐっ、たしかに、誰でもできるといえばできるけど、でも、「これは」という点もあるやろ?
   そうそう、こいつ、タイヤ交換が得意やねん。その前に組んでたナビは、計算は優秀やけど体力がなかったから、タイヤ交換させたらヘロヘロになってたんや。それが、このオバハンはさっさとしよったから、「おっ、なかなか役に立つやんけ」って思ったで。これからのラリーはもう計算なんて必要ないから、タイヤ交換ができるほうがええやろな。
   そんなしょーむない。なんかもうちょっとそれらしいことはないのん?
   うーん、その他といえば、体が頑丈ということかな。クルマが転がってもささっても、アンタはいつも異常ナシや。頑丈というより、体が柔かいんやろな。体が堅いと、ちょっとした衝撃で首とか腰とか、あちこち故障が起きる。まあ、オレは極めて安全なドライバーやから、そもそもそういうことは滅多にないねんけど。
   そういう故障を防ぐには、ある程度筋肉もあったほうがいいね。骨は筋肉で支えられてるから。それに、よく出てくる話やけど、両手を自由に使うためには、腹筋と背筋で体を支えてないとあかんし。
   アンタの場合は、脂肪でも支えられるからええねえ。ノートを腹の脂肪の上に乗せたら読みやすいやろ?
   フン! そういうのをセクハラて言うねんよ。
   セク腹? あんたの場合は、すぐにスク腹、やろ。
 
No.83  10月12日受信 大阪府・柳川淳さんから
Question  いつも応援してます。二つほど質問があるのですが。去年までファルケン、今年からブリヂストンで戦ってきて、「違うな」って思ったラリーはどのラリーですか? もう一つは、来年の車両規定のことで、改造の重点と考えているところはどこですか?
 
 むつかしいこと聞くなあ。この子、この年齢やったら高校生ちゃうのん?
   さすがにワタシらのような優秀なラリーストを輩出しているだけあって、大阪では、高校生のラリーに関する知識レベルが全国平均よりもかなり高いんやろう。
   何をしょうむないこと言うとんねん。関係ないがな。
   いや、多少は関係あるで、やっぱり。でも、「違うな」と思ったラリーって、全部やろ?
  そうやな。タイヤにも人間と同じようにそれぞれ性格がある。パターンも構造もコンパウンドも違うからね。今年は、その性格を理解しきれへんかったから、その長所をじゅうぶん引き出すこともでけへんかった、と言えばいいかな。
   タイヤが変わるとクルマのサスペンションもそれに合わせて変えんとあかんしね。
   うん。タイヤというのはサスペンションの重要な一部と考えることができる。たとえば、ダート用タイヤは、ハイト(height:ホイールからトレッド面までの高さ)が片側だけでも10cmぐらいある。これが地面の凸を踏んでフルに縮むということは、それだけのサスペンションストロークを稼いでるということや。これは大きいよ。
   なるほど。
   「勝たなアカン」にも書いてあったけど、「ひえつき」のセクション2では、去年までのタイヤやったらひょい、と曲がれたのが、今年のタイヤでは同じような走り方をしたら全然曲がれへんかった。これはショックやスプリングの設定とタイヤとが合ってなかったからやけど、それをラリー前に把握できてなかったからこういう結果になったわけや。
   ラリーで走るのとまったく同じ道があればいいけど、なかなかそういうところはないもんね。路面状態や勾配、コーナーのレイアウトによってベストなセッティングというのはちがうし。
   しかも、一つの道に合わせてしまってもあかん。ラリーではいろんな道を走るわけやから、その最大公約数というか、プラスマイナスを考えて全体としてプラスが一番大きくなるようなセッティングを探すんや。そのためには、いろんな場所で走ってデータを蓄積していく必要がある。それが、タイヤの性格を把握する、ということやな。
   相当走ってみんことには、なかなかじゅうぶんなデータは得られへんねえ。
   タイヤだけが変わってもこんなにタイヘンやねんから、マキネンみたいに、タイヤもクルマもいっぺんに変わったら、そらもうタイヘンどころやないで。
   そうやろなあ。マキネンは最近やっとちょっとマシになってきたけど、まだまだ期待されたほどには走れてないもんね。
   新井がモントレーに来たときに言うてたわ。マキネンが迷路に入り込んでしもたって。タイヤもクルマもいっぺんに変わったから、セッティングの方向性を見失ってしもうたということやな。
   そら難儀やわ。どないするん?
   ワシに聞かれてもなあ。ま、トミが迷路に入って出てこられへんのやったら、ワシが代わりに行ったってもええねんけど。
   迷路の中に?
   ちゃうやろ!
   そうやな。そんなとこに行ってもしょうがないわ。ほならまあ、次の質問に行きましょ。来年のクルマの制作で重点的に考えているところは?
   一つはエンジンやね。リストリクターがついて、これまでとはかなり変わるわけやから。具体的には、32φのリストリクターで最高出力が抑えらてしまうから、その下での中低速のトルクとかレスポンスを向上させるようなセッティングを追求する。
   これはECUエンジニアとの共同作業やね。
   うん。もう一つはサスペンション。パワーのないクルマでのコーナリングに合わせたサスセッティングを見つけんとあかん。これまでとは走り方も変わるわけやからな。
   シフトアップのタイミングも変わるし、使うギヤも変わるんやろねえ。
   そうやな。それから、あとは軽量化かな。
   軽量化? 来年からはクルマの最低重量が決められてるんやろ?
   せやから、乗る人間を軽量化したらええんや。ワシは運転するのに持久力と筋力がいるから、今より減量はでけへん。コドライバーのほうで調整してもらわんと。
   いや、ワタシの場合、すでに理想の体型やからそれは無理やわ。5zigenに頼んで超軽量レーシングスーツでも作ってもらう? あっ、そうや、レーシングスーツもヘルメットも着んと、「これはアホな人には見えへんスーツとヘルメットです」とか言えば?
   そういうことを考えるオマエがアホや。

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