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No.93  11月13日受信 オランダ在住・魚屋totoyaさんから
Question

 初めまして。日本ではジュニア戦、地区戦、オフィシャルなどを経験し、仕事の関係で7月からこっちに住んでいます。7月からラリーをしていなくてストレスがたまっている私に、友達がメールでこのHPのアドレスを送ってくれました。

 3月にこちらのシーズンが開幕したら、ぜひここでラリーを経験したいと思っていますが、山口さんは、世界のラリーと日本のラリー、コドライバーとしてどこが違っててどこが難しいと思いますか?

 日本のSSはほとんど山道でしたが、オランダは山がなく、高速ストレートの後に直角ターンやroundabout(注:日本で言うロータリー)が点在しているというふうで、長いストレートから次のコーナーを読むタイミングはどうすればいいんだろう、と通勤のクルマを運転しつつ考えたりしています。

 それと、もう一つ質問ですが、日本ではラリコンはかなり重要な位置を占めていましたが、こちらではラリコンはあまり重要ではないらしく、トリップを使うだけのことも多いみたいです。でも、本当にそうなんですか?

 長々となりましたが、私自身、きっとラリーが人生の一番に来るぐらい、本当にラリーが好きです。もしもヨーロッパに来られることがありましたら、ぜひご一報ください。何か手伝えることがあれば嬉しいです。

 
 ラリーの本場、ヨーロッパにいるなんて羨ましい! ぜひその環境を積極的に利用して、そっちでどんどんラリーに出場してほしいな。
   うん、そして日本に帰ってきたときには、日本でラリーをしてる人たちに、少しでも何かいい影響を与えてほしいもんや。
   「世界のラリーと日本のラリー」と言われても、「ラリー」って、野球やサッカーみたいに世界的に同じ規則で行われてるわけではないから、説明が難しいな。
   ここでは「世界のラリー」はFIA公認ラリーと考えたらどうや。WRC、アジパシ、ヨーロッパ各国の国内選手権とか、マレーシアやオーストラリアの国内選手権。魚屋totoyaさんが言う「日本のラリー」は、たぶん、ジュニア戦、地区戦のことやろな。
   ジュニア戦や地区戦のほとんどは、「ラリー」という名前はついてるけど、秒計時の計算区間のある「アベレージ走行ゲーム」で、「ラリー」とは別のモノやと思う。
   う、うん、たしかにそういう意見の人もいる(汗)・・・
   ラリーという言葉はもともとは集会という意味で、日本ではいろんなゲームが「ラリー」と呼ばれてるけど、実態はそれぞれがまったく別のモノや。JAFの公認競技で「ラリー」としてひとくくりで扱われてるものでさえ、中身はいろいろ、というのが実態で・・・
   しかし、今のところ日本で「ラリー」に参加してる人の大多数は、そうは思ってないようやから、そういうことをあんまり大きい声で言うと、みんなに嫌われるで。
   それが悲しいやんか! そんなことやから、WRCや日本アルペンを見て、「ラリーしてみたい」と思った人が「ラリー講習会」に行ったら、ワケのわからん計算の話をされて、なんじゃこれは、と呆れて帰ることになるんや。
   まあまあ。5年ぐらい前までは日本のラリーは混沌としてたけど、今はFIA公認ラリーも実際に行われてるし、全日本ラリー四駆部門は全戦がFIA規則に近い方式で開催されてる。ちょっと時間はかかるやろうけど、これからはFIA方式のラリーが主流になっていくよ。
   FIA規則に近い国内規則も2003年から実施されるしね(JAF出版発行「JAFスポーツ」10月号で公示)。そういうラリーでは、日本独自の「アベレージ走行ゲーム」で必須アイテムの「ラリコン」は不要や。極端に言えばクルマについてるトリップメーターと時計さえあれば、ラリーができる。
   そうやな。実際、全日本四駆部門では「ラリコン」はいらんわ。ウチのクルマのラリコンはもう10年前からついてるやつで、トリップメーターの液晶表示も壊れてるけど、時計とSSタイムの確認ぐらいにしか使ってないからアレでじゅうぶんやもんなあ。
   一応ついてるから操作することもあるけど、めんどくさいときはほったらかしやし。海外で使ってるラリコンは、日本のラリコンとは内容が違うけど、いずれにしても、そんなに重要ではないわ。
   魚屋totoyaさんは仕事でオランダに住むぐらいやから、英語もできるんやろう。FIAのホームページGeneral Prescriptionsを読んどいたら、ヨーロッパでならどこの国のラリーに出るにも困れへんで。
   JRCAのホームページでGeneral Prescriptionsの全訳・解説を公開できたらええけど、実現するにはいろいろ交渉ごともあって、まだちょっと時間がかかりそうやね。
   というわけで、FIA方式のラリーに関して言えば、規則は世界も日本もだいたい同じ、車両規則も2003年からは近くなるし、全然違うところといえばSSの距離と道の特徴かな?
   FIA公認ラリーでは、たとえばアジパシはSS距離が250〜300km、WRCは400km±5%というふうに、イベントの格に従ってSS距離を規定していて、モータースポーツとして理にかなってると思う。それに比べて今年までの全日本選手権の規定は、「ラリーの全体距離が200km以上、SSはなくてもいいが、SSがある場合はラリー全体距離の30%以下」という規則。なんかヘンやねえ。
   その規則も来年から変わって、全日本に限ってはSS距離の制限がなくなるわけやから、どちらかと言えばいい方向やないか。
   でも、最高距離制限だけでなく最低距離制限もないなんてねえ。同じ全日本でも、イベントによってSS距離が違いすぎるのはヘンやで。30kmのもあれば、120kmのもあるし。マレーシア選手権はだいたい150kmぐらいやった。
   そうやなあ。SS距離を揃えるのがムリなら、せめてヨーロッパ選手権みたいに、ラリーごとに係数をかけるようにしてくれたらええのに。今みたいに、SS距離が30kmしかないラリーも、100kmあるラリーも、同じポイントというのは不公平やで。SSが100kmのラリーのポイントは、30kmのラリーの倍掛け以上にはしてもらわんと。
   この5年間で全日本もかなり進歩したから、これももうじき改善されるのかな? まあ、あんたが年金でラリーするようになる頃には、なんとかなってるかもね。
   何がもうじきや。ずっとずっと、ずーっと先のことやんけ。
   前置きが長かったけど、そういうわけで、日本と世界の違いといえば、SS1本の距離も、ラリー全体でのSS総距離も、全然ちがうから、集中の仕方が違うということがあるね。
   うん、SS総距離が短い場合は、最初から全開に近いペースで行かんとアカン。かといって、全開で行ってスピンしたり軽くコースオフしたりすると、それを取り返すのも難しい。全開に近い状態で、なおかつ失敗せんように、というのが難しいね。
   でも、SS1本ずつの距離が短いと、負け幅が小さいから、取り返しやすい。一気に勝つのは難しいけど、一気に離されることもない。
   そうやな。そういう意味で、SS総距離の割にSS1の距離が長い場合は難しいね。SS1でペースを間違えたら、取り返しがつかへん。SS1は小手調べに短く設定してもらったほうが、走るほうにとってはやりやすいわ。
   SS1本の距離が長いほうが、そして、SS総距離が長いほうが、実力がそのまま反映されやすいはずやから、そっちのほうがいいなあ。たしかに、長いのに慣れてないときはちょっと戸惑うけどね。
   この1〜2年で全日本の四駆部門ではSSも結構長くなって、5km以上が主流になってきたけど、それでもまだ10kmを超えるのは数えるほどしかないからな。それ以前は、日本のSSはほとんどが1kmから3kmぐらいしかなくて、5kmでも長いほうやった。
   そんな頃に初めてマレーシアに行って、ほとんどのSSが10km以上、長いのは30kmもあると知って、「ウソ〜、信じられへん!」ていうぐらいビックリしたわ。レッキのときは、「うえ〜、まだかいな〜」ってウンザリしたけど、本番では特にどうってことなかったよ。
   オレは初めての海外ラリーがWRCのラリーオーストラリアで、45kmのSSではさすがにダレて集中力がなくなったな。次の年はそこもちゃんと最後まで集中できたけど。今年のアルペンでは、レグ1のChichibu Westが21kmで最長やったけど、短いなと思ったよ。レグ2は最長でもYokiya/ Yatakeの9.5kmで、どれも短かすぎて物足りんかったぐらいや。
   ホンマに慣れというのはすごいもんですな。しかし、コドライバーの仕事、というかペースノートを書いたり読んだりすることに限って言えば、世界も日本もたいして変わらんと思うで。ノートを作るのはドライバーやし。
   ノートを作るのは、たしかに海外のほうが難しいな。日本の道は、高度な土木技術と公的資金を惜しみなく使って、ドライバーが運転しやすいように至れり尽くせり、という感じ。海外は自然の地形が残ってるところが多くて、どうやって走ればいいのか、ノートにどう表現すればいいのか、悩むことが多い。
   長いストレートの先のコーナーをいつ読むかというのは、そう悩むこともないよね。ブレーキングポイントまではただひたすら全開やから、ストレート手前のコーナーを立ち上がったら、わりとすぐに読んでも差し支えないと思う。まあ、ドライバーの脳みそが小さいと、長いストレートを走ってる途中に忘れてしもうて、「アレ、何やったっけ?」って聞かれることもあるけど。
   人をアホのように言うな! 一瞬ちょっと度忘れするだけや。
   鎌田くんと組んでたときは、300メートルを超えるストレートでは100メートルごとにカウントダウンしてたけど。
 
   カウントダウンなんて、ホンマに役に立つのかな?そういう距離なんか、すぐに狂うやろ?
   うん、けっこう狂った。ぴったり合ってるときもあるけど、レッキのときと路面状況が違ったり、うねった路面では全開で走るとジャンプしまくったりして、かなり距離が狂ったこともある。
   せやろ。ほんだら、カウントダウンしてもあんまり意味ないやん。
   うん、だいたいの目安でしかない。1割ぐらい狂うこともあるし。
   そんなに狂ったら怖うてアテにでけへんやんけ。おまえのペースノートみたいなもんやな。
   読むタイミングを一人で悩まんでも、ドライバーに聞いて、ドライバーの望むタイミングで読んだらええよ。コドライバーは、ラリー中はドライバーの望むとおりに労働する、いわば奴隷みたいなもんやから。
   そうやろか? 奴隷に操られてるような気が時々してくるのは、ワシだけやろか?
   それはあんたが、ノートで言われたそのとおりに走れる、極めて優秀なドライバーやからやで、きっと。
 
   ううむ、ホメられてるような、ナメられてるような・・・
 
No.92  11月10日受信 和歌山市・梅本雅信さんから
Question  西尾さんへ: 今日は近畿ダートラ初心者講習会の講師、ご苦労さまでした。青いインプレッサの梅本です。同乗走行でナビシートに乗せていただき、最後に講評もいただきました。ライン取りをもう少しイン側にとればもっとタイムは伸びるとのことでしたが、実際にはどのように走ればいいのでしょうか? よろしければご指導お願いします。ダートラを始めて1年になりますが、今日の出来事、走りのイメージは忘れません。これからも機会があればいろいろお聞きするかもしれませんが、よろしくお願いします。今日はありがとうございました。
 
 青いインプレッサの人やね、覚えてるよ。スピード感覚があって、なかなかエエと思ったで。実は、このメールが来た後しばらくして、店まで訪ねてきてくれたんや。
   「実際にはどのように走ればいいのでしょうか」って、どういうことや? ライン取りなんか、そのときそのときで変わるから、ここでどうこうは言われへんやろ?
   あの日は一人一人にゆっくり説明してる時間がなかったから、具体的なことが話されへんかったんや。店に来てもらったときに、いろいろ説明しといたから、それはもうOKやで。
   ふうん、この人は、ライン取りができてなかったわけ?
   いや、「ライン取り」以前の問題やな。コーナーの外側の外側の、誰も走れへんようなところを、すごい勢いで走ってたで。
   それは「ライン取り」がまちがえてるんやなくて、たまたまクルマがそこに行ってしもただけちゃうん?
   まあ、初心者の場合は往々にしてそうなってしまうわな。でも、この人のいいところは、そのスピードや。ダートラを始めてたった1年で、あれだけスピード出せるもんはなかなかおらん。その意味では有望や。
   たしかに、本来持っているスピードというのは大事やね。最初からアクセル踏みたおしてる人が必ずしも全員トップドライバーになるわけではないけど、少なくとも、トップドライバーになった人はみんな、クルマをろくに操られへん初心者のころから、とにかくアクセルだけは踏んでるもんや。
   そういう人間でないと、やっぱり、速いドライバーにはなられへんとオレは思うなあ。
   コリン・マクレーは、「ペダルという名のつくものは、すべて床まで踏みつける」て言うたらしいけど、至言やね。
   そうや。アクセルも全開、ブレーキも全開でないといかん。
   たしかに、アクセルを全開にするって、快感やなあ。私が初めて自分のクルマ(ランサーターボ)を持った頃、青信号を先頭で発進するときとか、高速道路の料金所を出るときなんかは、毎回必ず全開加速して、一人でウシシ・・・て笑っててん。あまりにも右足に力を入れすぎて、足がつったこともときどきあったけど。
   アホちゃうか。
   全開でブレーキ踏んだらロックしてキャーて滑ったけど、他のクルマに当たる寸前に思い切ってブレーキを戻したらフッとグリップが回復して、間一髪で事故を免れたこともあったわ。
   街の中で何やってんねん!? ホンマに呆れたヤツやで。
   いやまあ、遠い昔の若気の至りですわ。もうこのごろはそんなことしてないよ。街の中では、アクセルもブレーキもそうっと踏んで、なめらかな運転を心がけてるから。信号で先頭になっても、全開加速なんかゼッタイせえへんし。
   あたりまえじゃ。
   ていうか、競技を始めてしばらくしたら、街の中でスピード出したりするのがアホらしく思えてきて、自然と普段の運転がおとなしくなった。「モータースポーツするって、ええことやね」と思ったで、そのとき。
   勝負する場所以外で全開で走っても意味がないからな。
   免許停止の間は、競技にも出られへんし。私の場合、それでダートラのシリーズ戦を休まなアカンようになったから、その年はダートラに出るのをやめてラリーに専念することにして、その結果、今に至ってるわけで・・・
   なんや。普段の運転がおとなしなったんとちゃうんか?
   おとなしく運転してても、スピード出るとこは出てしまうで。
   なんやようわからんけど、まあ、お陰でラリーに専念できてよかったやんけ。そういう運命やったんやな。
   どうかねえ・・・。皆さんは私のような目に合わないよう、年末は特に注意して、免許を大切にしてくださいね。
   梅本さんは、持って生まれたスピード感覚に磨きをかけて、また成長した姿を見せに来てや。楽しみにしてるで。

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