NISHIO GARAGE


Release 2002         

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2002  Vol. 2


ニシオガレージ・ファンタスティック・サイドウェイ

 

少数精鋭?がタカタに集結

〜 最後は「豪華賞品をかけたセコセコトライアル」で締めくくり 〜

 

 3月といえば雪道トレーニングの季節も終わり、そろそろダートが走りたくなる頃。というわけで、今年最初のニシオガレージ主催練習会は、広島県・テクニックステージタカタを会場に選んだ。「楽しくてためになるイベント」をめざして、とりあえずタイトルだけは華々しく「ファンタスティック・サイドウェイ」に決定。国内最高速ダートコースのタカタで、普段めったに体験できないファンタスティックなサイドウェイを!という願いを込めている。

 

 しかし、出走台数は16台とかなり少なめ。大阪周辺から見れば、「広島は遠い」と敬遠した人もいただろうし、それに加えて、大安吉日で祝い事と重なってしまったり、新しいクルマがまだできてなかったりで、やむなく断念したという人もいた。

 

個人の希望に合わせたプレミアムワークショップを設定

 今回、西尾が自分で言い出してやる気満々だったのが、2日間特訓のプレミアム・ワークショップ。(これも名前だけは華々しい。)4人が申し込んでいたが、そのうち1人から、「広島に出発するために家のガレージを出た途端、シャフトが折れた」という連絡。なんと気の毒な。でも、「ガレージを出た途端」というのが不幸中の幸いだった。

 

 そういうわけで、土曜日の朝9時から始まる特訓コースは、参加者3人に対して講師、メカニック、手伝い、その他合計9人が面倒を見るという至れり尽くせり状態(?)。「人数も少ないことやし、今日はのんびりやりましょう」とまずコーヒーを飲みながらそれぞれに何がしたいかを聞いてみる。

 

 CA4Aに乗る中村晃規くんは、「いろんな人の横に乗ったり、横に乗ってもらったりして意見を聞きたい。タイヤの比較もしてみたい。」 そこでこの日はまず軟質路面用のタイヤから試してみることにする。

 

 ランサーEvo5の佐々木さんは、「高い次元のコントロールを身に付けたい。横に乗ってもらってアドバイスを受けたい。それと、コーナー入口でフロントが入りやすいように、リヤの車高を調節したい。この前、リヤを下げたらアンダーになり、その後上げたらオーバーになったので、その間がいいような気がする」と言う。これに対して西尾は、「入口で若干アンダーがあっても、アクセルを踏み込んだときに良くなるという足もある」と注釈を加えた。

 

 「昔は、フロントに荷重をかけてブレーキングドリフトで進入する、という走り方をしていた。この走りは、自分の狙いどおりに決まるとものすごく速い。しかし、砂利が多いところや、思ったほどグリップしない場所では失敗する確率も高い。たとえば雪道では、失敗の確率が20%から40%ほどもあったりする。決まれば速いが失敗する確率が高いというのは、コース状況を熟知せずに走るラリーでは特に問題になる。そこで今は、直線でブレーキングを終えた後、アクセルオンでフロントタイヤのトラクションを生かしてノーズを入れる、という走り方を心がけている。この走り方でコーナリングすれば、失敗することはまずない。」

 

 西尾はこう説明してから、今回は佐々木さんの言うように、まずリヤの車高を調整してコーナー入口でのアンダーを解消するセッティングを見つけた後、入り口で若干アンダーが出てもアクセルを踏み込めば良くなるセッティングも探してみてはどうか、また、アクセルオンで進入する走り方も試してみてはどうか、と提案した。

 

 さてもう一人はランサーEvo1で参加した大学生の松岡孝典くん。いや、正直言って、このランサーを見たときは、あまりのボロさにスタッフ一同ギョッとした。見かけで人を判断してはいけないと言うが、「こんなボログルマに乗ってるなんて、きっとロクでもないヤツにちがいない」と思 われても仕方ないのでは。しかし意外にも、持ち主はいたってマトモそうな人。工学部機械工学科だそうで、メンテナンスもほとんど自分でしているらしい。

 

 「ドライビングの技術的なことを学びたい。それと、ショックの減衰力でクルマの動きがどう変わるのか知りたい」というのが彼の希望。そこで最初は、足回りのセッティングをする清井克紀選手のGDBの助手席でその変化を体感してもらうことになった。

 

一時は全員リタイヤ?

 こうして予定どおり10時から走行が始まった。しかし、中村くんが1本目にしていきなりドライブシャフト破損でリタイヤ。スペアを持っていないほうのシャフトだったので、復帰できなくなった。(ガレージを出た途端に折れたほうがマシだったかも・・・。) 佐々木さんのランサーもターボパイプが割れてリタイヤ。結局、一番長持ちしたのが最もボロいクルマとは、皮肉なものだ。

 

 その松岡くん、最初は、計時しているスタッフでさえ、「どこも同じスピードで走っててドライブしてるみたい」と言ったほど、運転にメリハリがなかった。といっても、松岡くんは決してヘタクソではない。計時スタッフは西尾雄次郎の走りとつい見比べるので、それがはっきり見えてしまうだけのこと。

 

 もともとマシンコントロールはある程度できているので、「全開ブレーキング」を意識するだけでずいぶん良くなった。最後のほうは、計時スタッフも「最初とは全然ちがう」と驚きながら、1ラップごとに期待を持って彼の走りを見守っていた。後半良くなったのは、路面の砂利が飛んで走りやすくなったということも確かにあるが、それを差し引いても、彼の進歩はみんなにも見えたようだ。「メリハリのあるドライビング」というものを意識して練習するようになれば、これからはかなりちがってくるだろう。

 

 しかし、しぶとい松岡Evo1もついに午後2時すぎごろにハブベアリングがダメになってリタイヤ。さっそく自分で交換作業にとりかかる。交換が終わってさあ走ろうと思った頃には、コース整備が入って本日は終了。でも、すでにもう20ラップも走ったから、今日はじゅうぶんでしょう。

 

近くにミニ・サーキットが完成

 みんなで宿に移動する途中、すぐ近くに新設されたタカタ・サーキットを見に行った。同じくボディーショップ・タカタの所有で、全長1.0km、最長ストレートは200メートル。フラットな地形に作られていて、安全そう。コースレイアウトもけっこう面白そう。翌日の日曜日には、こけら落としにドリドリ大会があるらしい。「面白そうやな、乱入しよか!?」「ブチブチにいわしたろ!」と、お決まりのセリフが飛び交う。ホントにそうできたら、楽しいのにねえ。

 

 この日はみんな朝早く起きたので、夕食を終えるとポテッと寝てしまった人がほとんど。参加者のうち、中村くんは壊れたクルマを積載車に乗せて大阪へ持って帰ったが、あとの2人は西尾雄次郎と一緒にドライビング、セッティング談義。この人たちもきっと眠かったにちがいないが、めったに無い機会なので眠い目をこすりつつ頑張っている。11時 をまわって、やっとお開きになった。

 

エボ1のタイム争いが注目の的に

 一夜明けた日曜日。コースは土曜日の夕食後に決めておいたが、タカタの佐々木社長の、「そこは使わないほうがいい」というアドバイスを受けて変更することに。結局、土曜日と似たようなコースになったが、45秒ぐらいの間隔でスタートさせられるようにうまく出来上がった。しかもストップウォッチで全車のタイムを計時できるようにスタート、フィニッシュを配置できた。

 

 受付をすませた順にゼッケンを渡して、奇数組と偶数組に分けて3回ずつ走行。これだとだいたい30分間隔で走行と休憩が交互に来る。練習会で順番を待つために並んで時間を費やすのは本当にもったいない。並ぶ時間を極力減らし、あいた時間は人から学んだり、自分で考えたり、クルマを整備したりというふうに、走行しない時間も、走行する時間も、両方有効に使ってもらうための方法だ。

 

 路面が良くなり、タイムも上がり、みんながスムーズに動くようになると、20分ぐらいで3回ずつ走れるようになった。11時半ごろまでには全員が30分(3回走行)x3回の走行枠を終えてしまったので、あとは昼休みのコース整備が入るまで自由に走ってもらうことにした。

 

 ここで熾烈な争いを見せてくれたのが、松岡くんとその同級生の柴田くん。クルマも同じエボ1。ただし、柴田くんは卒業するために1年間モータースポーツ活動を休止していたという。逆に松岡くんはこの1年、モータースポーツに入れ込んで卒業を延期することになったとか。

 

 最初は松岡くんに「1日の長」がアリアリで、余裕で勝っていたが、だんだん柴田くんも追いついてきて、ついに12ラップ目で松岡くんのタイムを抜いた。松岡くんは、「よし、抜き返してくる」とすぐに自分のクルマへ。柴田くんはさらに差をつけようと続けてアタックする。二人のスピードはどんどん上がり、高速S字を4速のまま通過できるほどに。走行を終えた参加者やヒマなスタッフが計時係の周囲に集まり、二人の走りにハラハラしつつも、どこまでタイムを伸ばすかと興味シンシン。西尾は、「若いってスバラシイねえ〜」と、ニコニコ嬉しそう。

 

 松岡くんはとうとう14ラップ目で1分21秒台を出し、西尾も、「ほう、それはいいタイムや」と感心した。実は、そのちょっと前に走った堀田くん(Evo6で全日本ラリーに参戦中)のタイムが1分21秒台。「堀田くん、あのクルマ、エボ1やで」とみんなに言われた堀田くんは、「えっ、ホント?」と一瞬絶句し、「そ、それはマズイ・・・」と冷や汗をタラ〜リ。

 

見学者も助手席でダート全開走行を初体験

 午後はコースを変えて1時30分ごろ奇数組から開始。しかし、なんだか走るクルマが少ない。「まだ目が覚めてないんで・・・」とCJ4Aの高岸さん。ご飯を食べたあと昼寝をしていたらしい。GC8の武部くんは、「ミッションが壊れかけてて、帰れなくなると困るから、もうやめます」と、早くも帰り支度をしている。

 

 「午前中だけで、もうじゅうぶん走りすぎるぐらい走った」とお疲れの人も。地元の阿部夫妻、三好さんは自分の走行枠だけをあっさりとこなしたが、若い人たちはまだエネルギー充分。ガレージを出た途端にシャフトが折れて日曜日だけの参加になった長谷川シビックは、午前中のパンクでロスした分を埋め合わせようと?しつこく走る。宿命のライバル・大学生2人は、ボロボロになったタイヤをローテーションして続行。ターボパイプ破損の後、原因不明のエンストに悩んでいた佐々木さんも復帰してきた。

 

 コース脇で見物していた人たちのグループから、2人が興味深気に近寄って来たので、「乗ってみますか?」と声をかけたら、「えっ、乗せてもらえるの?」と大喜び。「これまでここには何回も見に来たけど、乗せてもらえるなんて思ってなかった・・・」 実はこれがニシオガレージ・ファンタスティック・シリーズ練習会のウリのひとつでもあります。

 

 それから、ホームページを見て電話で問い合わせてきた女の人もやってきた。さらに、後になるとその人の甥という高校生も2人やってきた。西尾GDBは、水温が上がって全開走行は控えたほうがいい状態だったので、岡さん、佐々木さん、清井くんに協力してもらった。初めてのダート全開ド迫力のドライビングはいかがでしたか? ぜひまた西尾雄次郎号にも乗りに来てくださいね。

 

最後は「競技」でしめくくり

 だいたいの人が「もうじゅうぶん」という雰囲気になってきた頃合いを見計らって、西尾が、「最後に、ここから見える範囲だけのコースを使ってセコ〜いトライアルをやろう」と言い出した。賞品は、ブリヂストン、カヤバ、デルファイのトレーナーとTシャツ。「上位の人にはここにある豪華賞品?が出ます」と言うと、みんな俄然気合が入ってきた。

 

 西尾を先頭に慣熟走行、といっても人間が走るので、疲れてときどき歩く人も。そしていよいよ、「豪華賞品をかけたセコセコトライアル」の開始。一応、車種と実力に応じてハンデをつけた。ランサー、インプレッサは+1秒、地区戦ダートラ上位入賞レベルの人はさらに+1秒という具合。

 

 まず西尾が最初に模範?走行した後、ゼッケン順にスタート。コースが超セコくて、アウトの土手にブチ当たるクルマ、曲がりきれずにモタモタするクルマ、狭いところでオツリが来て窪地に落ちかけるクルマが続出。見ているほうは、「ひゃっははは!」と爆笑の連続だが、やっているほうは汗びっしょりで悪戦苦闘しているにちがいない。見物の高校生たちも、一緒になって大笑いしている。同乗したときは、「すごい!」と興奮していたが、そのときとの落差があるから、余計に面白かったかも。

 

 競争するとなるとついつい張り切る人種の集まりなのはわかっていたが、走らずに帰り支度をしていた武部GC8までが出てくるとは。「あれっ? ミッション壊れてたんとちゃうん?」と呆れる声も。その友達の宮崎くんは、果敢な走りでベストタイム更新か、と思いきや、フィニッシュ直前の360°ターンの途中でシャフトがボキッ! 「ちょっと余計なことをさせてしもたかなあ」と、西尾は思わずつぶやいた。

 

 最終出走は、昨日シャフトが折れたミラージュを大阪に置いてトンボ帰りして来た中村くん。日曜日だけ参加した友達の青海くんのEvo6でこのトライアルに挑戦したら、なんと最後の360°がパイロンぎりぎりに見事に決まった。「こんなこと2度とできません」と本人もオドロキの2位をゲット。

 

 1位は、ちょっとハンデ少なかったかな?の清井GDB、3位はハンデ2秒も西日本ダートフェスティバル優勝の実力で跳ね返した岡歯科Evo6。ちなみに、実際のタイム1位は岡先生、2位は0.05秒差で清井GDB、3位はその0.9秒差で中村くんで、どっちにしてもこの3人がベスト3であることには変わりなし。こうして、出走者15人に冷酷にも順位をつけて、11位までに賞品を持って帰ってもらった。

 

次回はサーキット走行も?

 シーズン初頭だったためか、ドライビングの入れ込みすぎによるコースアウトやクラッシュは皆無だったのはよかったが、整備不良が原因のリタイヤが多かったのは残念。それに、まだドライバーもクルマも本調子ではなく、コースも久しぶりの使用で路面が安定していないことなどから、コースレイアウトはかなり制約されてしまった。タカタならではとも言える、エキサイティングな立体交差やモンテカルロコーナー、ショートカットの下りなどは使わなかったので、もの足りなく感じた人もいたと思う。逆に、「それなら(怖くないので)行けばよかった」と思う人もいるかもしれない。

 

 今回は、西尾GDBの助手席にはほとんど乗ってもらえなかったし、ビデオ撮影もしなかった。でも、参加した人は走ることをとことん楽しんだ様子。効率よく走れたようだし、全走行のタイムが計時できた。それと、最後に、セコくてくだらないコースとはいえ、順位をつけるトライアルをしたことは、いい刺激になったのではないかと思う。

 

 さて、次回のニシオガレージ・ファンタスティック・シリーズは如何に? 「サーキットも出来たことやし、1日目はサーキット、2日目はダートラ場にしよか?」と西尾が言うと、みんな「そうしよう!」と即座に賛成したが、順序を逆にするほうがいいのでは? 1日目はダートラ場で新品ラリータイヤの山がなくなるまで走り、2日目はサーキットでさらにトレッドが剥離するまで走る。こうすれば、1セットで2日使えまっせ!

 

 ホントにそうなるのか、あるいはまた別の場所になるのか、今のところはまったく未定。興味のある人は、ホームページのお知らせをお見逃しなく!