NISHIO GARAGE


Release 2003         

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2003 Vol. 11


全日本ラリー選手権四駆部門第6戦 ネコステ山岳ラリー

 

西尾が優勝、清井も5位でダブル入賞

〜ポテンザRE55S typeWTがウェットターマックで威力を発揮〜

 

 

梅雨前線が日本列島の真ん中に停滞し続けたこの週、レッキを翌日に控えて木曜夜に現地入りした出場者たちは、夏とは思えない涼しさと、しとしと降り続く霧雨に、今回のラリーの難しさを覚悟したことだろう。この時期の前線の動きは予想しにくく、週末の天気予報はころころ変わったが、結局、霧のような雨は土曜日まで降り続いた。

 

第5戦ノースアタックに参加拒否されたために他の選手より2週間余計に準備期間を手に入れた西尾は、この間に徹底的にテストを繰り返した。タイヤ温度、ブレーキ温度などを瞬時に測れる非接触式温度計をフルに活用し、セッティングとタイヤのタレをさまざまな角度から分析してデータを蓄積した。第2戦のときは満足できなかった新型インプレッサ用のショックアブソーバーも改良され、それ以外のさまざまな開発パーツも完成度が高められた。

 

こうして万全を期して秩父にやってきた西尾だったが、一つ誤算があった。それは天候だ。この時期は真夏のカンカン照りになると予想した西尾は、高温・ドライを想定してテストを重ねていた。ところが実際は例年より遅れた梅雨明けのため、現地は半袖では寒いほどの気温。地元選手によれば、昼間は曇りでも夜になると雨が降り、路面は乾くことがないという。

 

ウェットのテストはまったくしていなかったが、「限界の高いドライでの走り込みは、ウェットでも必ず生きてくる」と信じた西尾は慌てなかった。SS1はいきなり20kmのロングステージで、ウェット路面のところどころに泥と砂が乗る。一瞬のミスが致命傷を呼ぶが、それを恐れて抑えすぎれば、取り返しのつかない遅れにつながる。先頭出走で路面状況が有利な勝田がベストタイムを記録したが、西尾はその3秒落ちの2番時計でひとまず無難にここを走りきった。

 

「勝負はロングステージの2回目」と読んでいた西尾は、そのSS3に賭けた。渾身の走りで2位奴田原に9秒の差をつけるベストタイム。いっぽう、同じ場所の1回目にベストタイムはとったものの5回もぶつけてインプレッサを満身創痍状態にしていた勝田は、「1回目は行き過ぎたので2回目は慎重に走った」結果、ここだけで西尾に30秒も遅れてしまった。

 

セクション2は20kmのステージを5km前後の3箇所に分けて2周する。雨はやんだが、たっぷり湿気を吸った山は霧に包まれた。2位に対して20秒という一見「安全圏」に見える差をもってセクション2をスタートした西尾だったが、最初のSS5でいきなり勝田に3.5秒も詰め寄られ、昨年と一昨年のMCAでの苦い逆転負けを思い出した。

 

SSはまだあと5本ある。「このままでは勝田くんにやられる」と気を引き締め直した西尾は、続くSS6で勝田を3.6秒差にくだすベストタイムを奪い、さっきの負けを帳消しにした。これで完全にペースを把握した西尾は、以後も同じスピードを保って勝田と僅差のベストタイム応酬を繰り返し、差を縮めるスキを与えない。最終SSはペースダウンする余裕も見せて、ついに待ち望んだ優勝を手に入れた。

 

一方、清井はパワステの不調に見舞われながらもセクション1を7位で終え、サービスでマシンを復調させてからは安定した速さで5位まで上った。全日本で初めての6位以内、しかも雨と霧とマシントラブルを克服しての結果とあって、クルーの感激もひとしお。これで自信を深めて、さらに上を目指していってくれることを期待したい。

 

さて、ラリーの結果を見れば、今回はインプレッサのハンドリングの良さと、ポテンザRE55S typeWTが勝利に大きく貢献したと言えそうだ。市販タイヤの域を超えたウェット時のグリップ力、コントロール性を持ちながら、市販タイヤであるがゆえの耐久性の良さが、20kmのロングステージでの西尾のスパートを可能にした。

 

他のトップドライバーたちはみんなセクション1とセクション2で合計12本ものタイヤを使ったのに、西尾はたった6本でこのラリーを誰よりも速く走りきったのだ。「難しい路面コンディションでも高いスピードでクルマをコントロールして走り切る、それがインプレッサをドライブする最大の喜び」と西尾は言う。

 

残るはあと2戦。次のモントレーは2か月後。今回の勝利を浮上のきっかけとすべく、暑い夏のハードワークが待っている。

 

 

Photo Album

 

Cクラス競技結果(完走13台/出走21台):

順位 クルー 車両 タイヤ 合計タイム 1位との差(秒)
1位 西尾雄次郎/山口顕子 インプレッサ BS 1:09.58.4 --
2位 勝田範彦/北田稔 インプレッサ DL 1:10.15.3 +16.9
3位 石田雅之/澤田茂 ランサー BS 1:10.38.4 +40.0
4位 炭山裕矢/星野元 インプレッサ YK 1:11.35.6 +1:37.2
5位 清井克紀/山中知樹 インプレッサ BS 1:11.47.5 +1:49.1
6位 大庭誠介/高橋浩子 ランサー YK 1:11.57.8 +1:59.4

 

Date  2003年7月19日埼玉県秩父市・秩父ミューズパークスタート&フィニッシュ
Data  SS総距離 80.99km(アスファルト舗装、ウェット)
Weather  天候:霧雨 気温:18℃