NISHIO GARAGE


Release 2003         

Vol. 1 Vol. 2 Vol. 3 Vol. 4 Vol. 5 Vol. 6 Vol. 7 Vol. 8 Vol. 9 Vol. 10 Vol. 11 Vol. 12 Vol. 13 Vol. 14 Vol. 15 Vol. 16

 

 

2003 Vol. 13


全日本ラリー選手権四駆部門第7戦 Montre

 

何もかもが噛みあわず、西尾4位に終わる

〜次々起こる「予定外」に翻弄された週末〜

 

 

冷夏から一転、8月後半から続いた猛暑も、9月中旬の台風通過を境に影を潜めた。そんな天候不順がかえって幸いしたのか、例年「秋雨前線」にたたられるモントレーが、今年はさわやかな秋晴れに恵まれた。

 

今回のモントレーは、前回までとはコースレイアウトを大幅に変えたが、その変化は初日に集約されている。群馬サイクルスポーツセンターとともに使われる3か所の林道は、すべて全日本戦初登場で、コースの長さ、路面、コーナー構成のいずれをとってもバラエティに富む。初日のカギは、これらすべてを走り切ったときに、最もいいタイムが残せるタイヤを選択することにあった。

 

西尾にとって、これは難題だった。今年発売されたRE55Sには3種類のスペックがあるが、ラリーの場合、ドライステージで使えるのはTTとSRの2種類。しかし、TTはロングステージでのタレが気になり、SRはマキシマムグリップが物足りない。同じBSユーザーの中には、旧モデルであるRE540SのtypeGZを選んだ者もいたぐらいだ。結局西尾は、2本のロングステージを重視してSRを使うことにした。

 

このタイヤチョイスはSS1でいきなり裏目に出た。木曜日に雨が降ったあと使用されていなかったサイクルスポーツセンターのコースは、路面全体にうすく砂が乗ってベリースリッパリー。SRではコンパウンドが硬すぎ、タイヤは空しいスキッド音を響かせて滑るばかり。さらに、ロングステージ1本目のSS2では、泥が乗った部分やハーフウェット部分で想像以上の苦戦を強いられ、西尾はすっかりリズムを崩してしまった。

 

実は、西尾が思いのほかマシンコントロールにてこずった理由はもう一つあった。木曜日の群馬サイクルスポーツセンターでの練習走行中に、トランスミッションにトラブルが発生したのだ。急遽大阪からスペアミッションを届けてもらったが、そのスペアミッションは、フロントデフの仕様がここ数ヶ月使っていたものとは異なっていた。金曜日早朝に積み替え、練習する時間もなく、ぶっつけ本番の全開走行。思えばこれが「予定外」の始まりだった。

 

とはいえ、しぶとい西尾のこと、惨憺たるスタートにもめげず、路面がスムーズで砂や落葉のないSS3 Kitayamaでは勝てると信じていた。その確信に導かれ、走るうちに徐々に調子を取り戻し、ここで僅差ながら勝田を抑えてベストタイムを記録。このSSがあと10km長ければ、と惜しむ気持ちを残しつつ、同じようにきれいな路面のSS4 Sumanoでさらなる浮上を狙う。

 

ところがここで、あろうことか山口がペースノートをロストしてしまった。しかも、普段なら一瞬見失ってもせいぜい2コーナー以内で復帰するところが、いっこうに元に戻らない。焦った西尾はめくら状態でアクセルを踏み続けてコースアウト。たまたまかなり下のほうに設置されていたガードレールに跳ね返され、運良く道の上には戻れたが、19台中14位というタイムで上位とは遠く離れ、いったん戻りかけた調子もまた崩してしまった。

 

一方、旧モデルのGZを使ったドライバーを見ると、SS1SS2では成功したものの、セクション1を走りきるにはこのタイヤは柔らかすぎたようだ。となればGZの後継版であるTTでもほぼ同じ結果が推測できる。やはりSRを使うしかないと判断した西尾は、セクション2では路面のきれいなKitayamaSumanoでフルアタックすれば、上位への道は開けると考えた。ところが、西尾にとって不運なことに、運営側の問題でこの2本はキャンセル。SRの不得手な路面ばかりを走ることになった西尾のドライビングは精彩を欠き、上位には離されるばかりだ。

 

翌朝、なんとか浮上のきっかけをつかみたい西尾は、短いSS2本だけで構成されたレグ2前半で、RE55SのtypeWTを試すことにした。この日のような路面温度であれば、ジムカーナではドライでもWTを使うことが常識だからだ。しかし、走り出してすぐに、このタイヤではサイクルスポーツセンターの高速コーナリングにはとても耐えられないことがわかった。

 

結局使えるのはSRしかない。残るSSでは、とにかく最善の走りをすることに努めるだけだ。そう腹をくくった西尾の最終SSの走りは、その限界を極めたものとなった。本来はロングステージでこそ威力を発揮するタイヤであり、4kmしかないサイクルスポーツセンターで使うには硬すぎるが、それを承知で攻めた。6速から5速へのシフトダウンで3速に入れてしまうという失敗を犯したが、それでも奴田原のベストタイムに0.2秒落ちのセカンドベストを記録し、やっと最後に少しだけ明るい表情が戻った。

 

一方、清井はSS7序盤でスリッパリーな路面にコントロールを失い石垣に激突。クルマにかなりのダメージを負ったが、SS8とSS9がキャンセルされたことが幸いして、ダメージが致命傷になる前にサービスに戻ることができた。サービス時間をフルに使った修復のお陰で、10位を守って完走し、また一つ新たな経験を積み重ねた。

 

  西尾にとって、最初から最後まで思い通りにならなかったラリーだが、最終SSでの渾身の走りは次につながる。シリーズ最終戦ハイランドマスターズには、この気迫をそのまま維持した全力投球勝負を期待したい。

 

 

Photo Album

 

Cクラス競技結果(完走18台/出走24台):

順位 クルー 車両 タイヤ 合計タイム 1位との差(秒)
1位 勝田範彦/北田稔 インプレッサ DL 47:12.7 --
2位 奴田原文雄/小田切順之 ランサー YK 47:21.8 +9.1
3位 石田正史/宮城孝仁 ランサー DL 47:48.9 +36.2
4位 西尾雄次郎/山口顕子 インプレッサ BS 47:53.4 +40.7
5位 石田雅之/澤田茂 ランサー BS 48:21.2 +1:08.5
6位 柳沢宏至/美細津正 インプレッサ YK 48:26.4 +1:13.7

 

Date  2003年9月27-28日群馬県新治村・群馬サイクルスポーツセンタースタート&フィニッシュ
Data  SS総距離 64.01km(アスファルト舗装、ほぼドライ、一部ウェット)
Weather  天候:晴れ 気温:15〜20℃