NISHIO GARAGE


Release 2004         

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2004  Vol. 5


全日本ラリー選手権四駆部門第3戦ザ・京都ラリー

 

今年初めてのターマックは攻めきれず

〜西尾は勝田らと激しいバトルを展開するも最後は脱落して4位〜

 

 

 2年ぶりの開催となった京都ラリーは、前回とほぼ同様、ターマックとグラベル両方のステージで構成されるということが発表されたのはラリーの約1か月前。当初はオールグラベルとされていただけに、出場予定者たちは一様に慌てたが、今年からタイヤサプライヤーが変わった西尾の場合は、なおさら大変だ。

 1か月の間にはオールグラベルのMSCC東京ラリーがあるため、まずこのラリーに向けてグラベルのサスペンションを改良しなくてはならない。京都の2週前に東京ラリーが終り、いよいよターマックのテストを始めようとしたところ、2日続けて不測の車両トラブルに見舞われた。こうして西尾が初めてダンロップのセミレーシングタイヤを履いて走ったのは、なんとその週末にラリー本番を控えた火曜日のことだった。

 タイヤの違いだけでなく、今年は車両規定が一部変更されたために昨年とは使用ホイールのサイズも変わる。これが予想外の差を生じさせていた。昨年のサスペンションセットアップのままではタイムはキロ2秒ほども遅く、西尾は愕然とする。が、約50kmを走ったこの1回のテストで、ある程度納得できるセットアップを見つけ、昨年に比べてキロ0.5秒落ち程度にまでこぎつけた。

 ラリーは西尾の得意とする五波峠のターマックSSから始まった。しかし西尾は存分に攻めきれず、走り終えた途端に「甘かった」と悔やむ。案の定、ベストタイムは石田正史に奪われ、西尾はその1秒落ちの2番手、さらに1秒差で奴田原、その1秒差で勝田が続く。

 SS2、3、4、5の舞台となる八丁林道は、ターマックとはいえ湧き水で濡れたところや落葉、砂利が多く、こういう道に弱い西尾は、前回の京都ラリーで苦杯をなめている。が、西尾は気持ちを奮い立たせてアクセルを踏み、他の3台と互いに勝ったり負けたりしながら熾烈な争いを繰り広げた。結果、SS5を終えた時点で勝田が2位の石田正史に4秒差をつけて頭一つ抜け出たが、奴田原、西尾が1秒差で続き、勝負の行方はまったく予断を許さない。トップ4の異次元のバトルを傍観するかのように、5位以下のグループはすでに40秒近くも離れたところにいた。

 ここでラリーはグラベルステージに移動する。SS6、7は奴田原が得意とするコスモスパーク、SS8は正史の得意とする堀越峠旧道だ。西尾は少なくとも勝田を押さえて3位に浮上したいと考えていたが、堀越峠により合っているだろうと選んだ軟質路面対応のDIREZZA86RWが失敗だったのかもしれない。勝田との差は縮まらず、奴田原と石田正史には大きく水をあけられた。

 

 こうして迎えた最終セクションは、八丁林道の難コースに再び挑む。グラベルステージが行われている間に、ここでは雨が降ったのか、SSの路面はうっすらと濡れ、より一層トリッキーになっていた。西尾は安全策に切り替えたつもりはなかったが、SS9をフィニッシュしてタイム掲示板を見ると、優勝をかけて一歩も譲らない石田正史と奴田原には遠く及ばず、勝田との差も開いている。こうなれば4km足らずの最終SSで逆転することはほぼ不可能だ。西尾はリスクを避けた走りでSS10を完走し、4位という成績でこのラリーを終えた。

 今回のラリーを振り返って西尾は言う。得意なはずの五波峠で甘い走りとなり、ベストタイムを奪えなかったことがショックとしてずっと尾を引いていたかもしれない。しかしそれ以前に、得意な五波峠でさえ思い切り攻められないほど、サスペンションの仕上がりに自信がなかったことが、そもそもの敗因だ、と。ウェットでより一層リスキーになった最終セクションで脱落してしまったのも、完全にマシンをコントロールする自信がなかったからだろう。自信がなければ、リスクを負ってまで攻めることはできない。

 ベテランの西尾でさえ完全に自信が持てない足では、清井に期待するのは酷だったかもしれない。テストコースでは西尾に遜色ないタイムを出していても、初めての林道ではどうしても攻めあぐねる。清井は最初から最後までいいところがなく、9位に終った。

 それにしても、今回のトップ4のバトルは国内ラリー史に残ると言ってもいいほどの稀に見る接戦だった。負けたクルーも勝ったクルーも、「最初から最後まで、本当に面白かった」「こんな経験は初めて。しびれました」という言葉で戦いを振り返る一方、互いにしのぎを削ったライバルたちに対して賞賛を惜しまなかった。西尾がたった一度のテストを経ただけでその一角を担うことができたのは、よく考えてみれば上出来と言うべきなのかもしれない。

 全日本ラリー選手権シリーズはこれから中盤に差しかかる。新しいタイヤにマッチしたサスペンションセットアップを一日も早く見つけ、本当の全力勝負に挑みたいと西尾は言う。その過程は、ゴールの見えない苦しい道のりかもしれないが、発見し作り上げることの楽しさが、それを克服させてくれるだろう。
 
 

Photo Album

 

Cクラス競技結果(完走14台/出走18台)

順位 クルー 車両 タイヤ 合計タイム 1位との差(秒)
1位 奴田原文雄/小田切順之 ランサー YH 45:06.0 --
2位 石田正史/市野諮 ランサー DL 45:10.0 +4.0
3位 勝田範彦/北田稔 インプレッサ DL 45:27.0 +21.0
4位 西尾雄次郎/山口顕子 インプレッサ DL 45:49.0 +43.0
5位 鎌田卓麻/晝田満彦 インプレッサ YH 46:33.0 +1:27.0
6位 石田雅之/澤田茂 ランサー BS 46:40.0 +1:34.0

 

Date  2004年5月29日京都府美山町・美山文化ホール スタート&フィニッシュ
Data  SS総距離 53.12km(ターマック43.33km、グラベル9.79km)
Weather  曇り時々雨