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Release 2006

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2006 Vol. 4 issued April 12


全日本ラリー選手権第1戦 ツール・ド・九州 in 唐津

 

北村和浩、ターマックラリー初体験で2位獲得

 

〜 タイヤバーストで40秒をロスして一時5位まで後退するも、最後まで集中力は途切れず  〜

 2006年全日本ラリー選手権は、満開の桜に彩られた佐賀県唐津市でその幕を開けた。10年ぶりに二駆部門と四駆部門が統合されると同時に初めて総合順位制が導入され、新しく生まれ変わった全日本ラリー選手権。その記念すべき最初のイベントには、排気量区分も国際規則同様に改められた4つのクラスに48台がエントリーした。

 前年まで、このツール・ド・九州は二駆部門の開幕戦として同県旧七山村内で2〜3km前後のショートSS主体に構成されていた。初めて四駆ラリーカーを迎える今年は、七山村が唐津市に合併されたことも受けて、例年よりも開催エリアが拡大され、林道のSSはほとんどが10km近くかそれ以上の長さとなっている。

 まずオープニングのSS1(10.09km)でトップを奪ったのは、これまでの全日本優勝7戦のうち6戦がターマックラリーという勝田範彦。しかし、その勝田に2.8秒差に迫る2位につけたのが、ターマック競技初体験のダートトライアルチャンピオン北村和浩だったのだから、会場に居合わせたラリー関係者たちが驚いたのは言うまでもない。全開男・北村の速さは誰しも認めるところとはいえ、舗装のラリーでいきなりここまで来るとは、北村を起用した監督・西尾雄次郎でさえ予想していなかったことだ。

 この2人が飛びぬけて速く、北村から11.2秒落ちの3位石田雅之以下は、わずか2.3秒に7人がひしめく混戦状態。ディフェンディングチャンピオン奴田原文雄はタイヤチョイスを誤ったか、勝田に15秒も遅れてこの集団の中にいた。

 SS2は競艇場の駐車場に作られたわずか550メートルの特設ステージ。ここで北村は、“100秒の1本勝負”と言われるダートトライアル競技で培った集中力で勝田を3秒差にくだし、早くもラリーリーダーに躍り出るかと思われた。ところが、先頭出走の奴田原らのタイムが 計測できなかったとして、このSSの計時結果は取り消され、全車に同じタイムが与えられることに。北村は絶好のチャンスを失うことになった。

 サービスを終えたラリーカーはSS1の再走となるSS3に挑む。 この日は朝から快晴で、すでに路面温度は30度に達している。タイヤをハードコンパウンドに履き替えた奴田原は追撃を開始し、石田雅之をとらえて3位に浮上した。しかし、セクション1 に続いて旧パターン・DIREZZA 02Gを選んだ勝田とニュータイヤ 03Gを選んだ北村がSS1と同様に1-2を形成し、この2台と奴田原との差はさらに開いた。

 ここまでの経過を見れば、このラリーで北村が2位以上になれることはほぼ間違いがない。ただ、緒戦の今回は欲張らずにまず表彰台を確保するほうが重要という考え方もあった。が、西尾はチャンスがある限り攻めの姿勢を貫くことを北村に指示し、北村のほうは監督から言われずとも最初から最後までそのつもりだ。

 しかし、攻めることはリスクを背負うことでもある。9.68kmのSS7の中ほどで、北村は縁石を踏んでタイヤバーストを喫し、このSSだけで勝田に40秒以上も遅れてその差は53秒に。しかも奴田原、石田雅之や榊雅広インテグラDC2にも抜かれて総合5位まで転落した。「悔しい!」「ラリーは難しい!」という言葉を何度も繰り返す北村は、だが、まだまだ諦めていない。タイヤバーストで落胆した直後のSS8も 、集中力を切らさず走り、レグ1をベストタイムで締めくくった。

 あくる日は前日とうって変わり、冬への逆戻りを思わせる冷たい気候となった。3位石田雅之との差は8.0秒で、昨日と同じように走れば必ず逆転できるだろう。2位奴田原とは23.0秒もの差があるが、昨日北村に起こったことが奴田原や勝田にもじゅうぶん起こり得る。西尾監督は、「自分の実力どおり走るだけで 、3位にはなれる。もし誰かに何かが起きれば、もっと上にも行ける。とにかく自分の本来の実力で走っている限り、チャンスはめぐってくる。結局、ラリーはいつでもそれに尽きる」と北村に言い、北村は力強くうなずいた。

 レグ2のオープニングは競艇場の特設ステージ。わずか30秒ほどのこのSSで、北村は石田雅之との差を2.0秒つめてあと6.0秒とすると、4.10kmのSS10では4.3秒差にまで縮めて、14.98kmのSS11を迎えた。ここで奴田原はターボトラブルに見舞われ、1分以上もロスして一気に入賞圏外に去ったが、石田雅之は予想以上に踏ん張った。気温の高かった前日は、適したコンパウンドがポテンザRE55Sのラインナップになく、苦戦を強いられていたが、気温が低くなったこの日はtypeTTがぴったり合ったのだろう。北村はSS11で石田雅之を逆転したものの、その差わずか1.6秒で競艇場に戻ってきた。最終SSはたった500mとはいえ、1.6秒というのは 些細な失敗で順位が変動し得るタイム差でもある。

 そんな波乱を危惧するサービスクルーたちに西尾監督は平然と言った。「すでに雅之に1.6秒勝って2位にいる。そんな状態で、北村くんが逆転されるなどということは、あり得ない。」 その言葉どおり、北村は最終SSもベストタイムで締め、初めてのターマックラリーを2位という驚嘆すべき成績で終えた。

 サービスパークに戻ってチームクルーやファンの祝福を受けた北村は、「ラリーって面白いね!」と、昨日の悔しさと今日の結末を振り返った。計時結果が取り消されたSS2、バーストしたSS7。それらがなければ、という気持ちもある反面、「今回は本当に運が良かった」とも言う。バーストしたままSSを5kmも走ったのに、タイヤ以外にはまったくダメージがなかったことが不幸中の幸いだったと。もっとも、可能な限りスピードを保ちつつ、ダメージを最小限に抑えるようなドライビングができたのは、彼の能力があればこそではなかったか。ともかく、ラリー中には不運もあれば幸運もある。 ひとつのミスで全てを失うこともある。だが少なくとも、ベストを尽くさない者にチャンスは訪れない、ということだけは確かだろう。

 かつて西尾の手によるインプレッサで全日本ダートトライアルを3連覇した頃と比べて、北村が技術的にも精神的にもさらに成長し続けていることを西尾は知っていたつもりだが、 「思っていたよりもまだ上だった」と感嘆を隠さない。 今回、サスペンションは、KYBが来年の発売を視野に入れて開発中のSpecMRを投入したが、Sタイヤを履いた競技仕様車で初めて舗装を走った北村でも、まったく違和感なく気持ちよく乗れたという。第2戦 まであと3週間を切ったいま、 次は本気で勝ちに行くべく、think3・DLインプレッサ+KYBのさらなる改良が進められている。

 

 

競技結果(完走36台/出走48台)

総合順位

クラス順位

クルー

車名

合計タイム

トップとの差

1位

JN4-1位

勝田範彦/北田稔

スバルラリーチームジャパン・インプレッサ

47:50.5

00:00.0

2位

JN4-2位

北村和浩/晝田満彦

think3・DLインプレッサ

48:41.2 00:50.7

3位

JN4-3位

石田雅之/清田恵次

C-ONE POTENZA LANCER

48:49.3 00:58.8

4位

JN3-1位

榊雅広/井出上達也

J&S クスコ KYB☆BSインテグラ

49:00.6 01:10.1

5位

JN3-2位

アキラ/安東貞敏

ARUZE TRD C-ONE CELICA

49:06.5 01:16.0

6位

JN3-3位

横尾芳則/石丸智之

ARUZE TRD C-ONE CELICA

49:07.5 01:17.0

 

Date

2006年4月8-9日

Weather レグ1快晴、レグ2曇り

Place

佐賀県唐津市・唐津競艇場スタート&七山市民センターフィニッシュ

Data

SS12本、SS総距離 56.94km、アスファルト舗装

 

<全SSのタイム表はJRCAホームページのイベントレポート欄からダウンロードできます。>