NISHIO GARAGE


Release 2006

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2006 Vol. 7 issued July 15


全日本ラリー選手権第6戦 Rally Hokkaido

 

トラブル続発、遂にSS15でリタイヤ

 

〜  トランスミッション積み替えを34分で切り抜けたが、相次ぐメカニカルトラブルに万事休す〜

 

 

 全8戦で構成される2006年全日本ラリー選手権は、Rally Hokkaido からシリーズ後半戦に入る。前半4戦中3戦のターマックラリーをすべて入賞してドライバーズランキング3位につけたダートラチャンプ北村和浩が、グラベルラリーでいよいよ本領発揮と周囲の期待はいやがうえにも高まる。7月8日土曜日、快晴に恵まれた北海道十勝地方を舞台に、SS総距離200km以上に及ぶ戦いの幕が切って落とされた。

 ラリーカーは陸別町への長いトランスポートを経て17.11kmのSS1に挑む。北村にとってはSSの長さ、速度域、そして長大な移動距離など、すべてが未知の領域にあるラリーだが、これをコンペティティブなレベルで完走することができれば、彼のラリードライバーとしての能力は飛躍的に向上すると西尾雄次郎監督は見ていた。

 オープニングのSS1は、初のシリーズチャンピオン獲得に向けてグラベル走行にも進境を見せる勝田範彦が10分56秒3で制した。ディフェンディングチャンプ奴田原文雄は5.2秒差の2位につけ、前戦シンフォニーを欠場してこのイベントに照準を合わせてきた石田雅之がそれに0.5秒差で続く。北村は11分13秒4で6位ながら、トップからはキロ1秒落ちにとどめ、まず第一の関門を無事通過した。ここ数年間、十勝地方の高速ラリーを何度も経験してきたライバルたちに比べ、北村はこのような林道を走るのはまったく初めて。それを考えれば、このタイムで走りきったことは充分賞賛に値する。慣れるにつれてスピードは上がると、西尾は早くも次のSSに大きな期待を寄せた。

 しかしSS2を走り終えた北村から届いた連絡は、そんな期待に冷や水を浴びせるものだった。SS2をフィニッシュした時点で1速が使えなくなったというのだ。さらに、SS3を終えると2速、5速もなくなった。当然、タイムはまったく勝負にならないレベル。「ダメージが酷くならないよう、SS4を走らずにリタイヤしましょうか」と言う北村に、「いや、続行してサービスまで戻ってくれ」と西尾は伝えた。

 最初のサービスでトランスミッションを交換するという西尾の決断を受け、サービスクルーは大急ぎで作業の準備を始め、手順を打ち合わせる。サービス時間は20分で、サービスアウトに15分以上遅れると失格になる。つまり35分以内で作業を終えてクルマを送り出さなければならない。

 SS4を終えたラリーカーがサービスパークに戻って来た。サービスインTCの手前にクルマを停めると、北村とコドライバーの晝田満彦がさっそくインタークーラーなどをはずす作業に取りかかる。サービス内での作業時間を短縮するためだ。そしていよいよ北村車がサービスエリアに入ると、戦場のような慌しさ。サービスアウトは14分遅れとなったが、無事にトランスミッション交換を終えて北村を戦列に戻すことに成功した。1分遅れるごとに10秒のペナルティが課されるので、この遅れによるタイムペナルティは2分20秒となるが、この長丁場のラリーでは致命的なものではない。

 これでSS5以降は復調するはずと思いきや、出来上がったばかりのサスペンションがコースに合わないことに加えて、別のメカニカルトラブルも発生し、北村のタイムは“高値安定”には程遠い。それでもレグ1を終えた時点でペナルティを含めて8位に まで戻した。SSタイムから見れば、5位はすでに射程内だ。

 明けてレグ2。サスペンションセットアップがどうしてもうまく決まらず、北村は思いどおりにならないクルマで何度もコースオフを繰り返しつつも徐々に順位をあげていく。SS12で二人抜いて6位に上がり、SS14ではついに5位 に浮上。4位とはすでに3分のタイム差があり逆転は不可能に近いが、少なくともこの調子で走りきれば5位以上は確実だ。しかし、ほっとしたのもつかの間、次の困難が北村を襲う。センターデフが不調をきたし、クルマはますます言うことをきかない。とうとうスピンを喫してコースから半分こぼれ落ちた。センターデフが正常に作動していればすぐにコースに復帰できるのだが、それもかなわず、あっけない幕切れとなった。

 トランスミッションの破損に始まり、センターデフの不調でとどめを刺された形の今回のラリーは、そのほかにも多くのメカニカルトラブルが続発し、北村にとっては最初から最後までフラストレーションを抱えた状態での戦いとなった。それでも平均時速100km/h近くのSSを200kmも走破したことは、北村にまた一つの自信を与えたであろうし、クルマが万全な状態でなくてもロスを最小限にとどめながら無事に走りきるというラリーの戦い方を身に着ける機会にもなったことだろう。

 全日本ラリー選手権は「Rally Hokkaido」の2週間後に同じ十勝地方で「とかち2006」の開催を迎える。しかし、トラブルが続発した車両を見直し、戦闘力を高めて完璧な状態に仕上げることが先決と考えた西尾は、これを欠場するという判断をくだした。夏の終わりには、北村が、北村らしい“北村走り”で復活する。そんなシナリオの実現を、今は楽しみに待つこととしよう。

 

 

 

競技結果(完走16台/出走29台)

総合順位

クラス順位

クルー

車両

合計タイム

トップとの差

1位

JN4-1位

奴田原文雄/小田切順之

三菱ランサーエボリューション

2:21:51.8

00:00.0

2位

JN4-2位

石田雅之/清田恵次

三菱ランサーエボリューション

2:22:31.2 00:39.4

3位

JN4-3位

炭山裕矢/沼尾敬廉

スバルインプレッサ 2:23:40.3 01:48.5

4位

JN4-4位

田口幸宏/佐藤忠宜

三菱ランサーエボリューション 2:24:27.1 02:35.3

5位

JN4-5位

星野博/渡辺孝次

三菱ランサーエボリューション 2:27:51.3 05:59.5

6位

JN4-6位

飯泉忠男/石田裕一

三菱ランサーエボリューション 2:27:52.1 06:00.3

 

Date

2006年7月8-9日

Weather レグ1 快晴、レグ2 曇り

Place

北海道河東郡音更町・ 希望が丘ラリーパーク スタート&フィニッシュ

Data

SS16本、SS総距離 223.92km(うち1本7.63kmキャンセル)、グラベル、ドライ

 

<全SSのタイム表はJRCAホームページのイベントレポート欄からダウンロードできます。>