NISHIO GARAGE


Release 2009   

 

 

Vol. 3 issued Sept. 8


全日本ラリー選手権第6戦久万高原ラリー

 

松岡・木村が表彰台まで僅差の4位

 

〜  反省材料は多いながらも次が楽しみに 〜

 

 全日本ラリー選手権はシリーズ第6戦に入ったが、松岡孝典・木村裕介にとっては今年3戦目、初めての3位を得た第2戦からほぼ4か月ぶりの競技出場となる。

 

  例年どおり、久万高原ラリーは標高1,525mの大川嶺の山腹をとりまく林道がその舞台となった。高度およそ1,000mに位置する美川スキー場を拠点とし、コースレイアウトは極めてシンプルかつコンパクトだが、SS総距離は100km近い。最長約24kmのSS美川を筆頭に、どのコースも道幅が狭 く、崖や林が間近に迫る、いわゆる「林道らしい」林道だ。コーナーのリズムが複雑なうえにアベレージスピードが比較的高く、ノート作成にもドライビングにも高い技量が問われる。

 

  松岡は2007年に出場したことがあるが、このときはロングステージを走るたびにブレーキが効かなくなったうえにローターの過熱でタイロッドの樹脂が溶け、ブレーキングもハンドリングもままならないクルマで我慢のラリーを強いられた。開催時期が9月初旬となった今年は、それより気温も路面温度も高くなると予想されるが、クルマの状態は完璧なはず。自分たちの実力でどこまでこの難しい道を攻めることができるか、今回は絶好の挑戦の機会だ。

 

  開催期間の短縮化が多くのラリーで見られる今年、久万高原もそれに倣い、土曜日の午前中にレキを実施、午後4時に競技開始というタイトなスケジュールが採用された。この日は5.44kmのSS大谷(上り)を2周するだけ。SS1は奴田原文雄、SS2は石田正史といずれもランサーエボ10が制し、デイ1の順位は1位が石田正史、2位が奴田原、3位に勝田範彦GRB、4位が福永修エボ9で、松岡はそれに次ぐ5位と、無難に1日目を終えた。

 

 松岡の走り自体は、西尾雄次郎監督から及第点をもらえるようなものではなかったようだが、上位争いにからんでくると見られていたドライバーたちがトラブルを抱えたことにも助けられた格好だ。古谷哲也はラリースタート早々からターボの不調でスピードが出ず、結局翌日のSS4でリタイアすることに。開幕戦2位の横尾芳則はSS1でターボホースが外れて後続ゼッケンの松岡に途中でラップされる始末。横尾はこの時点で入賞すらほぼ絶望的となった。

 

  明けてデイ2は、4.98kmのSS大谷リバース(下り)、24.38kmのSS美川リバース(昨年までの設定とは逆向き)、14.16kmのSS大川嶺(上り下り)の3箇所を2周する。本当の勝負はこれからだ。まず勝田がSS3を制すと、次のSS4は石田正史がベストを奪い返す。この時点で2人が抜け出し、トップ石田に2位勝田が3.8秒差で迫るいっぽう、3位奴田原はすでに27.5秒後方に退いた。しかし続くSS5で石田正史はスローパンクチャーに気づかず、途中でマシンコントロールを失ってクラッシュ。こうして1周目を終えた時点で勝田が2位奴田原に34.7秒もの差をつけて独走体勢となった。

 

  奴田原に次ぐのは、数年ぶりに最大排気量クラスでの全日本再挑戦となった今年、常にトップ争いの一角に加わっている福永修。開幕戦から全戦出場している福永は、サストラブルでリタイアした第2戦以外はすべて6位以内に入賞している。松岡はなんとかこの福永に食らいつきたいところだが、自身いまひとつ「乗れてない」と感じるうえに、コドライバー木村のノートリーディングもかみ合わず、SS4終了時には福永から17秒以上遅れた6位に後退してしまった。

 

  しかし続くSS5は勝田、奴田原に次ぐ3番手タイムを記録し、大川嶺頂上直下からの急な下りにブレーキが耐え切れなくなった福永との差を9.2秒にまで戻した。石田正史がリタイアしたため、松岡はこの時点で4位に。こうなると次の1周は3位奪取にも期待がかかる。

 

 しかしこの日の松岡はなかなか復調できず、SS6ではラリー後半になってペースのあがってきた榊雅広や、SS2以降、好タイムを並べて上位に急迫する横尾だけでなく、大学自動車部後輩の高山仁にまで割って入られる6番手タイム。SS7でもこの3人の後塵を拝し、合計タイムでは4位をキープしてはいるものの、3位福永との差は20.6秒にまで広がった。

 

  ただ、松岡によれば、SS7後半から少し本来の調子を取り戻しつつあったという。その言葉を信じていいのか、SS8ではすでに2位に大差をつけた勝田が少し力を抜いたとはいえ、それに0.9秒差のセカンドベストで走りきった。気がつくと3位福永との最終的な差は3.5秒に、いっぽう5位は34.9秒の大差に退けることになった。

 

  「今回はいったん落とした調子をなかなか戻すことができませんでした、でも、最後の走りを次につなげたいと思います」と松岡。木村は、「肝心なところでノートをロストしたり、最初から最後までうまく回らなかったラリーでした、よく無事に走りきれたものだと思います」と振り返る。西尾も、「もう少し本来の力を出せていたら3位には確実になれたのに」と歯がゆい表情を見せたが、「まあ、こういう日もあるさ」と、完走して4位を得たことにひとまず安堵した。

 

 だだし、「今回の4位はブレーキ性能だけで手に入れたようなもの」と厳しい言葉も。7月に発表されたアイテナリーから、今年の久万高原ラリーは例年よりも一層ブレーキに厳しいコースになると見て取った西尾は、その対策にSTIのGRBグループN追加公認ブレーキをさっそく取り寄せ、ウィンマックスの協力も得てテスト、調整を重ねてきた。いまひとつ調子の出ない松岡が、2度の大川嶺でそれまでのビハインドを一気に取り返すことができたのも、このブレーキがあったからこそ。SSタイムで上になったり下になったりしていたライバルたちと同等のブレーキでは「6位も危なかったかもしれない」と西尾は言う。

 

 次の新城ラリーでは、今回のブレーキのように圧倒的有利をもたらすようなものはないだろう。厳しい戦いを一つ終えて、また少し成長したであろう松岡・木村コンビが、自らの力で上位を勝ち取るような展開を期待したい。

 

Photo Album

 

競技結果(完走30台/出走39台)

総合順位

クラス順位

クルー

車両

合計タイム 1位との差

1位

JN4-1位

勝田範彦/保井隆宏

ラック名スバルSTI DLインプレッサ

1:20:30.1

 

2位

JN4-2位

奴田原文雄/佐藤忠宜

ADVAN-PIAAランサー

1:21:30.5

1:00.4

3位

JN4-3位

福永修/奥村久継

HASEPRO・CMSC・SDFランサー

1:22:02.4

1:32.3

4位

JN4-4位

松岡孝典/木村裕介

NET・DL ・KYBインプレッサ

1:22:05.9

1:35.8

5位

JN4-5位 杉村哲郎/立久井和子 CMSC★DL★ITZZ★ITOランサー 1:22:40.8

2:10.7

6位

JN4-6位

榊雅広/井手上達也

BS.KYB.itzz.CMSCランサー

1:22:52.4

2:22.3

 

Date

2009年9月5日〜6日

Weather

デイ1 晴れ、デイ2 晴れ

Place

愛媛県久万高原町・ 美川スキー場スタート&フィニッシュ

Data

SS8本、SS総距離97.92km  ターマック、ドライ

Results

SSの リザルトが久万高原ラリー公式ウェブサイトに掲載されています。

全SSのタイム一覧表および上位入賞車画像はJRCAホームページからもダウンロードできます。